サステナブルホテルとは
サステナブルホテルとは、直訳すると「持続可能な宿泊施設」をいい、地球環境や地域社会などに配慮した宿泊施設をいいます。
什器やリネンなどオーガニックのものを使ったり、歯ブラシやカミソリなどを提供しなかったり、短期滞在の場合リネンの交換をしなかったり、飲食物の提供はフェアトレード食材や地産地消などの配慮をしている宿泊施設が増えています。
・什器やリネンなどに天然素材のものを使用
・使い捨てプラスティックの歯ブラシやカミソリなど提供しない
・リネンの交換をしない
・飲食物の提供はオーガニック食材や地産地消
・調理で残った生ゴミなどの堆肥化
サステナブルホテルはなぜ注目されているか
国連によりSDGsが採択されたことにより、観光業界にもサステナブルな意識が高まったことがあげられます。
またOTA(オンライントラベルエージェント)のブッキングドットコムが2019年「サステナブル・トラベル」に関する調査結果を発表し、旅行者の多くがサステナブルであるべきと回答しています。
今回の調査では、旅行者のおよそ4分の3(72%)が「次世代のために地球を守るには、人々は今すぐ行動しサステイナブルな選択を行う必要がある」と回答。一方、日本では世界と比べるとサステイナブルな選択の必要性を感じているのは半数以下となる40%のみとなりました。(ブッキングドットコムより引用)
宿泊施設の利用者である旅行者のニーズに基づきサステナブルなホテルが注目を浴びはじめています。
海外のサステナブルホテル
Hotel Brooklyn Bridge(ブルックリン ブリッジ)|アメリカ
画像:Hotel Brooklyn Bridge より
2017年にニューヨークで開業した194室あるホテル。マンハッタンのビル群や自由の女神が眺められるビューが人気。地元の再生資材を活用。100%オーガニックなリネン。風力発電や雨水の活用などエコシステムを採用。
Suarga Padang Padang(スワルガ パダン パダン)|インドネシア バリ
サステナビリティをコンセプトにした自然と調和を大切にしたリゾート。地元の木材や廃棄された木材や竹などで建てられたリゾート。地元のオーガニック食材が味わえるほかテレビやプラスティック製品を客室に置かないなどのこだわりも。
Hotel Stadthalle|オーストリア ウィーン
画像:Hotel Stadthalle より
ホテルのコンセプトは「green at heart」で、太陽光発電で電気を作りLED電球で消費電力を抑え節水シャワーヘッドで電気と水の消費を抑えている。またホテル内ではハーブを栽培しミツバチを飼育しホテルで使用している。さらに自転車や電気自動車で来訪する旅行客には割引を行っている。
Alto Hotel on Bourke(アルト ホテル オン バーク)
画像:Alto Hotel on Bourke より
オーストラリアのメルボルンにある19世紀の建物を利用したホテル。メルボルンで初めてカーボンニュートラルホテル認証を受けたサステナブルホテル。エコ電球を使用したり、雨水をトイレに使用したり、再生可能エネルギーによる電力を使用している。
日本のサステナブルホテル
KIKKA|東京
画像:KIKKA より
2018年8月オープンしたホステル。料金の一部がアフリカの子供たちの給食として届く仕組みを構築。アメニティやスタッフのユニフォームはカンボジア女性支援活動をしているアパレルブランドを採用。使い捨てプラスティックのアメニティを廃止しリネンの交換はしない方式を採用している。
カミツレの宿 八寿恵荘|長野
画像:八寿恵荘 より
オーストリアに本拠をおくビオホテル協会が認証する「ビオホテルジャパン認証」を日本で初めて取得。宿泊客の健康や自然環境に配慮した厳しい基準をクリアした。自社の有機栽培カモミールから抽出したカミツレエキスを作る製造工場とがあり、農業体験などもできる。寝具やリネンはオーガニックコットンを使い、自社農場で作った野菜をはじめ肉や魚も厳選した食材を使っている。床材は地元の赤松を使用し素足でも気持ちが良い。自社ブランドのスキンケア製品も使える。
おとぎの宿 米屋|福島
画像:おとぎの宿米屋 より
宿泊客の健康と健康に配慮した厳しい基準に合格した宿泊施設を認証する「ビオホテル認証」を取得。シャンプーやボディソープなどのアメニティやスキンケア製品は国際的オーガニック認証を取得したものを採用。温泉を冷暖房エネルギーに変換し二酸化炭素排出を抑制している。
HOTEL WHY|徳島
このホテルは徳島県勝浦郡上勝町にあり上勝町は全国初の「ゼロ・ウェイスト(ゴミゼロ)宣言」をした自治体でサスティナブルな取り組みをしている。そのため全国から見学者などが訪れている。2020年4月開業したこのホテルではゼロ・ウェイストの取り組みを学ぶことができる。ホテルでは地元の杉材や廃棄する家具や建築資材などをリメイクして設計施工されている。
KURKKU FIELDS「TINY HOUSE VILLAGE」|千葉
画像:TINY HOUSE VILLAGE より
有機栽培をしている自社農場をはじめ水牛の酪農場や養鶏場もあり、ホテルのレストランで食べられるだけでなく農業体験もできる。宿泊はタイニーハウス(小さい家)というアメリカのポートランド発祥の居住スペースでキャンプやグランピングとも違った宿泊体験ができる。
SORANO HOTEL|東京
画像:SORANO HOTEL より
コンセプトは、心にも体にも健やかであること「ウェルビーイング」。消耗品である歯ブラシなどのアメニティなどは置かず、ボディシャンプーやトリートメントなどはオーストリア製オーガニックアメニティを使用。日本製フェアトレードオーガニックコットンを製造するホットマン社のタオルを採用。飲食も水は「富士の湧き水」を調理に使い、食材も産地や品質にこだわり野菜が多めで発酵食品を取り入れた体にやさしいメニューとなっている。
GOOD NATURE HOTEL KYOTO|京都
画像:GOOD NATURE HOTEL KYOTO より
複合施設「グッドネイチャーステーション」の一部として2019年12月オープン。ホテルは環境や健康に配慮した建物が認定されるWELL認証(WELL Building Standard )のゴールドランクを取得した。地元京都の生産者と連携し生産物の販売し地産地消やエシカル消費を促す。プラスティックは一部バイオプラスチックしたものを使用し、使い捨てのアメニティは削減している。またフードロスも生ゴミを堆肥化して農家に還元するなど力を入れている。
TRUNK|東京
画像:TRUNK より
「自分らしく無理せず等身大で社会的な目的を持って生活すること。」「ソーシャライジング」がコンセプトのブティックホテル。什器類などに間伐材を使ったり、タオルやシャンプーをオーガニック素材のものを使うなど環境に配慮している。
SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE|神奈川
画像:SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE より
坂茂氏設計の田園の景観に配慮したホテル。地元クラフト作家の作品やアクセサリーを販売するなど地域の魅力を発信している。またレストランでは地元の肉や魚やフルーツを使い野菜は自社農場で土からこだわった有機農業にも力を入れている。
HALUTA HAKUBA|長野
画像:HALUTA HAKUBA より
北欧家具を扱うハルタが運営するホテル。北欧のヴィンテージ家具を使い寝具は天然素材を使い、プラスティックアメニティを置かないなどの配慮をしています。
Auberge erba stella(オーベルジュ エルバステラ)|北海道
画像:Auberge erba stella より
北海道フードマイスターなどの資格を持つシェフが地元北海道の食材を使った料理や北海道産ワインや北海道産チーズなどを提供。テレビを置かず自然の音を感じ堪能できるスタイル。基準の厳格な「ビオホテル認証」を取得している。
箱根山テラス|岩手
画像:箱根山テラス より
「木と人をいかす」をテーマに2014年オープンのホテル。地域の木材を活かし人のつながりと経済の循環を生み出す。建物の壁や床はすべて地元産の木材を使用。ペレットストーブを使い地元の木材を活用し、さらには電気に頼らないペレットボイラーを導入している。
扉温泉 明神館|長野
画像:明神館 より
1931年創業、日本では初めて厳しい基準をクリアした国際エコラベル「グリーンキー認証」を2009年に取得した旅館。体にも自然にも優しい建材を使用し、リネンはオーガニック素材を採用。自家農場の有機野菜を使い、生ゴミは堆肥化して畑に返す循環を生み出している。
ビオホテル(BIO hotel)についてはこちら
サステナブルホテルのまとめ
サステナブルホテルとは、環境に配慮した運営を行うホテルです。
サステナブルホテルは、以下の取り組みを行っています。
- エネルギーや水の使用量を削減する
- 廃棄物を減らす
- 地域の環境や文化を守る
サステナブルホテルは、環境に配慮した旅行をしたい人に人気があります。また、サステナブルホテルの取り組みは、地球環境の保全にも貢献しています。