プラスチック資源循環促進法ってどんな法律?2022年4月施行を目指す
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が2021年6月4日に成立しました(環境省法律案概要PDF)。
地球環境に影響を与えるプラスチックごみを削減し、プラスチック製品の設計製造から廃棄、そしてリサイクルについてそれぞれの過程での対策が定められている。
●設計製造段階では、環境に配慮して設計した製品を国が認定する仕組みを設けて、メーカーに対してリサイクルしやすい製品を作るよう求める。例えば単一素材でリサイクルしやすい容器などには国の認定マークが付くなど。
●また具体策は明記されていないが、コンビニなど小売店などでプラスチック製のスプーンやフォークを過剰に提供しないよう事業者が取り組むべき基準などを決める。例えば使い捨てスプーンなどを有料化やバイオプラスチックや木製紙製など環境負荷の少ない素材への転換などを求めるなど。
●さらには、自治体によりプラスチックごみが焼却ごみと一緒に回収しているところもあるので、プラスチックごみをペットボトルなどと一緒に回収しリサイクル率を促進することも含まれる。
今後事業者や自治体に具体的な対策を求めるための検討を行う。
プラスチック資源循環促進法が成立した背景
日本で捨てられるプラスチックごみは年間900万トン前後あり、バーゼル条約で2021年1月から海外への輸出が禁止され、国内処理の必要性が高まっています。
日本の廃プラスチックの有効利用率は85%とされていますが、実際には熱回収(サーマルリサイクル)や輸出に依存し、国内では16%しかリサイクル処理できていません。海外ではサーマルリサイクルはプラスチックのリサイクルに分類されておらず、海外からは非難を浴びており、海外からの圧力も高まっています。
SDGsにコミットしているのにも関わらず(目標14に「海の豊かさを守ろう」がある)、2017年のG7の「海洋プラスチック憲章」にコミットしなかったこともSDGsウォッシュと批判を浴びています。
2050年頃には世界の海のプラスチックは、全海洋の魚の重量を上回るという試算がされるほど海洋汚染は深刻化しており世界ではこの課題に向き合っています。海洋国である日本も対策が求められます。
プラスチック資源循環促進法の影響や罰則など
プラスチック資源循環促進法はプラスチック製のスプーンやフォークの有料化、またプラスチックのスプーンやフォークの受け取りを断った人へ買い物で使えるポイントの付与などが考えられています。
ファミリーマートでは6月7日よりパスタのプラスチック容器を植物性由来のバイオポリプロピレンを使用した容器に変更し、今後は随時他の容器についても変更していくと発表した(参照:ファミリーマート)。
レストランのシズラーでは、2021年3月に使い捨てスプーンフォークナイフセットを30円とし有料化した(参照:シズラー)。
菓子メーカーのシャトレーゼは4月にスプーンを1本2円と有料化した(参照:シャトレーゼ)。
またプラスチック資源循環促進法の成立した同日に「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバーおよび賛同24団体は9つの共同提言を行った。以下はその一例(参照:PRTIMES)。
政府として地球規模のプラスチック汚染を包括的に解決するために不可欠な「法的拘束力のある国際協定を早期発足させることに最大限の貢献を行う」とともに、「プラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となるような『基本法』を早急に制定し、その下で総量の大幅削減を前提に実効的な対策を導入すること」が、なおも必要であると考えます。
企業などから出るプラスチックごみについては、排出削減やリサイクを義務付け、違反すると指導や改善を指示され、それでも対策しない場合は50万円以下の罰金となる。
「プラスチック資源循環促進法」まとめ
プラスチックを減らすためにスプーンやフォークを有料化するのもいいが、思い切って便利で楽な悪しき「使い捨て文化」から脱する必要があるのではないだろうか。ビニールバッグがエコバッグを携帯するようになり、使い捨てカップをマイボトルの携帯するようにチェンジしたようにスプーンやフォークや箸もマイスプーンやマイフォークやマイ箸の携帯する習慣が必要なのでは。いくら植物由来のプラスチックに変えたとしても、魚やクジラの他、鳥などがプラスチック類のごみをエサと間違えて誤飲してしまう事案は減らないということもある。
海洋プラスチックについては、その4割以上がプラスチック製の漁網などの漁具であることから、漁具の管理を義務付ける必要がある。ここを徹底しないとスプーンを有料化してもあまり実質的効果は期待できないと思われる。